日常の喧騒からふっと離れて、自分の内側を見つめ直せる場所。ひばりヶ丘にある「こんぺい陶」は、土の感触に触れながら呼吸を整え、忙しい日々の中に小さな「余白」を生み出してくれる隠れ家です。
教室名の「こんぺい陶」には、金平糖のように楽しく、たくさんの物語がここで交差してほしいという願いが込められています。中学生から80代の方まで、幅広い世代の生徒さんが集まり、いつ来ても「ほっ」とできる静けさに包まれています。
今年で30年目を迎えるこの教室には、開設当初から通い続けている方もいらっしゃいます。自家栽培の野菜をふと分け合うような、自然体で温かいコミュニティが、ここには息づいています。
うまくいかない時こそ、実は一番大切な瞬間なのだと先生は言います。技術を押しつけるのではなく、一人ひとりの「つくりたい」という気持ちにじっくり寄り添い、実演を交えながら丁寧にサポートしてくれます。
実は先生自身、かつては「せっかち」で、物作りも得意ではなかったといいます。その経験があるからこそ、不器用な方やせっかちな方でも安心して、自分のペースで陶芸の面白さを深めていただけます。
陶芸という「手触り」は、歴史・科学・アートなど、あらゆる知性とつながる窓になります。1万年の歴史を持つ縄文土器のように、焼物と向き合うことは、時を超えて過去と対話することでもあります。
自分一人で作るだけでなく、隣で誰かが作っている作品をそっと眺めるのも、大きな楽しみのひとつ。自分にはない視点に触れることで、感性が刺激される体験がここにはあります。
自分自身の作品づくりはもちろん、大切な誰かへのプレゼントを作る方もいます。想いを込めて過ごす豊かな時間が、ここにはあります。
自分が作った器で食事をし、花を活ける。そんな小さな楽しみが、日常の質を少しずつ豊かにしていきます。
今回、先生とお話しする中で印象的だったのは、その一貫した「ニュートラル」な人柄でした。
生徒さんの私生活に必要以上に踏み込まず、土と向き合う時間を尊重する。その程よい距離感こそが、この教室の心地よさの正体なのだと感じました。
先生が30年かけて守り続けてきたこの空間は、自分自身の心と静かに再会できる「癒やしの処方箋」のような場所です。
(取材班・TORIMICH運営より)